ダモレ(d’amore)のたわごと のだめカンタービレ 映画話 ケルト話 etcとか。ネタバレ解禁。最終更新はカレンダーの色が変わっている日付をポチ。またはカテゴリから。


by damedelarose
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怪談・・・

怪談なチアノダをすでに書いていらっしゃる方もいるので、どーしよーかなと思ったのですが、
書いて見たいなと思って、まず、怪談の予習を・・・

怖いの苦手なんじゃなかったっけ?<自分

ホラーとかダメなんですよ。実は。
小さいときに、怖いの大好きおばあちゃんと昔のおばけ映画をたくさん観すぎちゃって・・・
(障子の向こうの、実のおばあちゃんを妖怪に想像しちゃって、びくびくしたよ・・・)

京極は知らずに読むものなくて手にしてしまって、新幹線でチキンになりながらそれでも読んでしまいました。
今年は映画もあるし、出てる人はみんな好きだし、特に阿部寛好き(榎木津だなんて、最高だ~笑)だから見たいけど、あの不気味さが映像になって想像したとおりのヴィジュアルで大画面になったらそっちのほうがもっと怖いよ!

某ミニオフ仲間(笑)ゆかさんから、ゴーストハントシリーズをちょっとずつお借りして、結局ゴーストハントの漫画文庫を買ってしまいました。

漫画のほうも怖いけど、(ヴラドにようやくご対面でした♪ちよりん、かおりん 笑)ヴラドが身近な人に似ていたおかげで、ここだけは一番怖い場面にもかかわらず笑ってしまった。

よし、これで怪談リハビリはオッケー♪と、本格的に怪談雑誌を手に入れて読み始めました。






挫折。


怪談雑誌『幽』、怖いです。
あまりに怖いので、会社においてあります(爆)
夜なんて読めないよ!会社の休み時間に読んでますけど。

自分で怖い話考えるなんて無理無謀だと今頃自覚しました・・・















hold on tight・・・



なんだコレ?

真一は、クロゼットの奥から靴の箱を出そうとして、それに気づいた。
クロゼットは正方形の窓のない「押入れ」だけれど、日本の押入れを違うのは、小部屋ほどの大きさがあることだ。
内装は明るくしてあっても、このクロゼットをあけて右側の固い陶器の電灯スイッチをぐいっとひねるたびに、このアパルトマンの古さを実感する。

前から、靴の箱を積み重ねたあたりの床が少し傾斜してる、と思っていた。
パリ暮らしが長くなり、物が増えて、靴の箱もどんどん積み重ねて・・・
クロゼットの整理に手が回らなくなって、そのままに忘れてしまっていた。
一番下の、パリで一番初めにかったソワレ用の靴をとりだそうとして、仕方なく箱を全部取り出した。
床板にできた隙間にある、光を弾くもの。


滑らかな小さい金属の部分だとわかって、真一は顔を近づけた。
爪でひっかくと、すこしずつ浮き出してきて、指先でつまんで引っ張り出した。


指輪だった。

金と七宝、そして小さな緑色の石がついている。
随分古めかしいデザインだな、と思いながら、クロゼットを出て日光の下で見ると指輪全体に細かい線刻があった。

いったいいつからあるんだろうか。
誰のものなんだろう。

まさか、ウチの両親か、と真一は思って苦笑した。
あれから何年たって、何人の人間がここに住んだのか、それもわからないというのに。

クロスで磨くと指輪は艶やかな黄金色を取り戻し、真一は、それを机の引き出しに入れた。
今はどうすることも出来ないし、そのうちに誰かに相談しようかと、考えながら・・・
忘れるともなく忘れてしまった。





「ぎゃぼっ!!」
と奇声があがって、真一はキッチンから振り返った。
また何か変態なことでも思いついたのか、と溜息をついて、出来上がったパスタを盛り付けた。
奇声のあとは何の音もしないので、真一はそのまま食卓を整えてのだめに声をかけた。
「おい、出来たぞー」
のだめがうつむいてテーブルについた真一の横にやってきた。
「早く座れ・・・」
ごめんなさい!と勢いよく、あまりに勢いよく頭を下げたから、真一はぎょっとして持っていたワインボトルごとよけてしまった。
「なんだよ、いったい」
「これデス・・・」
突き出されたのだめの左手薬指にあるのは、あの指輪。
緑の石がついた黄金色の・・・
一瞬、何が起こったのかと思ったが、真一は気づいた。
のだめはこっそり真一の机をひっかきまわして、この指輪を見つけたのだ。
「オマエ、他人の机をいじるなっていってるだろ!」
「ハサミ探してたんデスよ。そしたらコレがあって」
あんまり綺麗だし、エト、その・・とくちごもるのだめを、真一はいらいらと急かした。
「いい訳なんかどうでもいい。とにかく、人のものをいじるなって何度言えばわかるんだ!?」
のだめは、ぐっとつまって、それでもぼそっと呟いた。
「だって・・・隠してあるから」
もしかしたらのだめへプレゼント!?と喜んだけど、それにしてもむき出しで引き出しに放り込んであったのが、解せない。
もしかして、浮気の証拠?!
どっちにしても、のだめはしげしげと指輪を眺め、そして薬指にはめてみた。
指輪はするりとのだめの指におちついた。
冷たい感触が、ちょっとくすぐったい。
指輪はのだめの指にぴったりだった。
ぴったりすぎるくらい・・・
かざして、緑の石を光に向けるときらりと光る。
思わず眺めてしまっていたら、真一の声がした。
慌ててはずそうとしたけれど、あんなにすんなり入った指輪がどうやっても、指から抜けない。
どんなに必死になっても、取れないのだ。
真一は、肩を落としてのだめの手をとった。
のだめの左手をとり、その薬指から指輪を抜こうとする。
のだめが困ったように笑った。
「これって逆デスねー。ふつうは、左の薬指にはめるのに・・・」
真一は思わずのだめの頭を拳固でこつんとやった。
「こういうことするバカに、指輪はやらねえ!」



結局、指輪はのだめの指から抜けないまま。
真一は少し不機嫌なのに、のだめは「得しちゃいマシタ」と嬉しそうに取れない指輪に満足して。




夜が更けた。
真一は、隣に眠っているのだめが動くのをかんじた。
トイレか・・?と半分眠りながら思った。




翌朝、真一が目覚めたときはすでにのだめの姿はなかった。
ベッドの半分は冷たくなっている。
真一は起き上がった。
どこからか、風が入ってくる。
寝室と居間の間のドアが開いていて、風はそっちから来ていた。
夏とはいえ、パリの夜は涼しい。夜風は寒いくらいだから窓を開けて眠るなんて、風邪をひくためのようなものだ。
のだめはいなかった。
こんなに朝早くから行くはずだっただろうか、と真一は不思議に思いながら、やはり開けっ放しだった窓を閉めた。
まあ、いい。今夜言っておけば、と思いながら。


その夜、のだめは疲れていた。
あまり食欲もないらしく、食べる量も少ない。
窓のことを言うと、きょとんとして、それから「よく覚えてないんデスよ、眠れなかったんです」
とだけ、小さく答えた。
ピアノの練習も億劫そうな姿に、真一はベッドに追い立てた。
「風邪ひいたんじゃないか?」
「う~ん、そうかも・・・」
のだめは真一のベッドのシーツにもぐりこんで、「あったかーい」と笑った。
まどろみはじめたのを見て、真一はそっと寝室の灯りを消した。
かすめるようなキスをのだめの頬におとして、部屋を出た。
普段が元気すぎる、変態すぎるのだめなだけに、不調はすぐにわかってしまう。
もしかして、今頃パリ暮らしの疲れが出てきたのだろうか、と真一は溜息をついた。



よく眠っているのだめを起こしたくなくて、真一はそっと毛布だけを運んでソファに自分のベッドを作った。
午前1時をまわった時間、真一もスコアのチェックをおしまいにした。
パジャマにだけは着替えてソファに横になった。
灯りを消してみると、閉め忘れたカーテンの外の月光が明るいのに気づいた。
そういえば、もうすぐ七夕じゃないか。
遠い日本の暦を思い出した。
二人の恋人が一年に一回だけ会える日、七月七日。
一年に一回だけなんて、オレなら我慢できないな、とふと考えるとおかしくなった。
ドアをあければ恋人が眠るベッドがあるのに、わざわざソファで眠るオレはかわいそうかもしれない。
この一年はパリでの仕事がメインだったから、こうして一緒の時間がふつうになっているけれど、これからはどうなるだろう。
のだめが卒業して、そしてそれからは・・・
真一は明るい月光から眼をつぶった。
先のことはまだわからない。もしも遠くに離れてしまったら、一年に一回会えるのでもいい。
だって、雨になったら会えないじゃないか。
一回でも会えればいいじゃないか・・・
七夕を自分がいっしょになってしまいながら、真一は眠りに落ちていった。


ぱたん、と音がした。
空気が動いて、真一は眼をあけた。


のだめが窓を開いて、空を仰ぎ見ている。
月光に照らされた横顔は、彫像のように輪郭を際立たせている。
いくら色白といってもアジア人の黄味がかった肌なのに、月光に照らされたのだめの顔は、まるで雪花石膏のようだ。
そして、その眼が、見ているものは何だろう。
固い沈黙が、月の光を纏うのだめを覆っている。
体が動かない、と真一は気づいた。瞼だけは瞬きしていて、眼はのだめを捉えているけれど、どうしても起き上がれない。
くちびるでさえ、「のだめ」とひとこと呼びかけることもできない。
どれくらいの時間がたったのか、のだめが、首をめぐらせた。


窓の外、中庭をはさんで向こうの建物の上、そのもっと先に・・・・
音もなく、飛ぶものがあった。
それは一機の飛行機だった。
翼が上下二段になっている、映画でしか見たことがないような、古めかしい複葉機。
紺色の夜空に月光をあびて、プロペラが回っているのに音もなく。
その飛行機はゆっくりと旋回し、宙返りをした。
そして、ぎりぎりまで降下して、このアパルトマンに迫ってくる。
月光を浴びた複葉機は、真珠色をしている。
プロペラの影に、パイロットが見える。
彼のゴーグルまで真珠の色だ。
のだめが、動いた。
両腕をあげて、ゆっくりと微笑いかける。


体が動かないなら、ほんとうはこんな窓の外のことがすべて見えるはずがない。
パイロットがかけているゴーグルが見えるわけがないじゃないか。
真一の心のなかのどこかで、声がした。
夢だ、これは夢なんだ。


のだめが、目をつぶった。
睫が揺れている。
薄く涙がにじんでいる。
あげていた両腕で、空からなにかを抱きとめるような形にした。
そして自分の体に引寄せて・・・
ぎゅっと抱きしめた。


あんなに近くまで飛来していた、あの飛行機が消えていた。



真一は、跳ね起きた。
「のだめっ!」
叫んで駆け寄ったとき、のだめがくたりと崩おれた。
慌てて抱きとめると、かたん、と音がして、力が抜けて意識がないのだめの左手の、その薬指から、小さいものが落ちた。
金色の指輪。





翌日、真一はのだめに何も言わずにいた。
のだめ自身がなにも覚えていないようだったからだ。
指からはずれた指輪のことも、指輪をはめてはずれなくなったことさえ忘れているようだった。
そして夜。
真一は一晩中のだめを求めた。
のだめがとうとう眠ってしまうと、真一は起き上がって、居間の窓をあけた。
夕べは満月だった。
今夜の月は、あれほどの光はだしていない。
そして、あの指輪は真一の机の引き出しにある。

あれは何だったんだろう。

ありきたりの言葉でいえば、幽霊なんだろうか。
恐怖もあったのに、もっと感じたのは、切ない気持ちだった。
いつの時にか、どこかで誰かと誰かを繋いだ愛情の、偶然満月の夜空に映し出された思い出映画。
あの指輪が何故この部屋にあったのか、いつからあったのか、もしかしたら調べればわかるのかもしれない。
でも、と真一は思いながら窓を閉めた。
調べなくてもいいと思う。
時を死を越えたパリの七夕の恋人たちは、夕べようやく会えたのだろう。
どんな時代に、どんな恋をしていたのか。
のだめの隣にもぐりこみ、眠っているのだめを抱き寄せて、今腕のなかにいる恋人の体温をゆっくりとあじわった。

もう、のだめは貸さないからな。
幽霊の恋人たちに同情はするけれど、自分の恋人を代用されるのは我慢できないし。
そんなオレ様なことをおもいついて、くすくす笑いながら、真一も眠りについた。



パリの夜空の下、恋人たちが眠る・・・
いつの時にも。









*****

いやー、すんません。
一週間以上ひねくってしまいました。
幽霊話の元は、某甲子園出場男子校に保管されてるという戦闘機です。
夏の夕方エンジン音がして、飛んでいる機影を見た人がいるんだそうです。
人間の幽霊よりも切なくて怖い話だと思いました。
きっとその学校から学徒出陣してなくなった学生さんの思いなのかなあ、と。
両親、特に母はあまりに幼いときに戦争体験したから覚えてないと思うのに、
トラウマがあるようです。
今思うと、空襲を生き延びた方々は、そんな精神的なケアは当時なかった
でしょうから一人で乗り越えたのでしょうね。

で、大元のイメージは、岩波少年少女文庫「フランバーズ屋敷の人々」の
シリーズからです。
そこに複葉機に人生かける少年が出てきて・・・
ネタバレになるからやめときますが(笑)、このシリーズはどこが子ども向け
なんだろう?と思うくらい深いので、おすすめです。
ある意味ハーレクイン(笑)

飛行機、複葉機のほうがすきです。
宮崎駿アニメのブタさんなんか、もう毎日でも見ていたいかも♪


なんで、これは怪談ではございませんでした・・・
あしからず・・・
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by damedelarose | 2005-07-24 09:04